JV


一つの事業の遂行のために、2 名以上のものが共同して構成する米法上の契約関係で、広義のパートナーシップの一種。わが国の民法上の組合に該当し、米国以外の企業間でも広く利用されている方式であり、法人格はない。合弁会社(joint venture company)とは区別を要する。石油上流部門における石油会社間の共同事業形態の大半はこれにあたる。法的な定義としては、(1) 当事者間で特定の事業遂行についての合意があり、(2) 持分に応じた出資、損益の分担が決められており、(3) 共同で事業の管理・運営にあたり、(4) 事業の範囲内において相互に代理権などの授信関係のあるような共同事業体を指し、当該事業の範囲内において各構成員は一般責務について共同して(jointly)対外責任を負い、事業の終結をもって解散する。不法行為、不当利得などによる責務の場合は個別かつ共同し(severally)責任を負う。 狭義のパートナーシップとジョイントベンチャーとの相違は、前者が事業を特定せず、各構成員がフル・タイムでかかわることを前提としているのに対し、後者は特定の事業を対象とし、各構成員はその事業の一部にかかわることを前提にしており、これにより各パートナーの競業禁止範囲、授信関係の範囲に差がある。また米国税法上前者と認定されると法人に擬制されて共同事業単独で課税されることもあるので、これを避けるため共同事業協定にパートナーシップ組成の否定を明記する場合も多い。いずれも法人を設立して共同事業を行う場合に比べ、資金効率の良さ、非協力的なパートナーの排除の容易さ、会社法上の各種制約の回避、税法上の取扱いなどに利点があるが、事業に関する債務について無限責任を負うこと、マイナー・シェアのパートナーの権利の保護が会社ほど万全ではないなどが不利な点である。