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解糖

細胞の活動エネルギー源となるグルコースを血液が運んでくる。血糖値が下がると、すい臓のランゲルハンス島にあるα細胞はグルカゴンを分泌する。これにより肝臓に備蓄されているグリコーゲンの分解が促進して血糖値は上がる。取り込まれたグルコースは解糖されてピルビン酸になる。ピルビン酸はミトコンドリアのマトリクスにあるクエン酸回路とミトコンドリアのクリステにある電子伝達系によって二酸化炭素と水になる。全過程を通してグルコース1 分子からATPが38分子つくられる。解糖系の活発な活動はピルビン酸を多量に発生させる。骨格筋では「乳酸脱水素酵素(LDH)」(Lactate Dehydrogenase 植物および動物を含む多くの生物に存在する酵素である)がピルビン酸を乳酸にする。その結果、強い筋肉運動を続けると筋肉内の乳酸値は上昇して血中の乳酸濃度も上昇する。一方、心臓を動かす心筋のLDHは乳酸をピルビン酸に戻す方向に働く。これで分かるように、LDHの働き方はデジタルである。各種臓器の細胞成分を電気泳動してLDH酵素活性を染め出すと、5本のバンドがどの臓器からの試料でも同じ位置に現れる。これらをLDHアイソザイムと呼ぶ。LDHアイソザイムはアミノ酸の異なるサブユニットMとサブユニットHが4量体となって酵素活性を有する。全てがサブユニットHでできたH4からH3M1、H2M2、H1M3、そして4つすべてがサブユニットMのM4までLDHには5種類のアイソザイムが存在する。バンドの太さや濃さは酵素の量や活性度を示す。各臓器はバンドの太さや濃さに固有のパターンを持っている。骨格筋や肝臓にはサブユニットMの構成比率の高いアイソザイムが多く、心筋や赤血球にはサブユニットHの構成比率の高いアイソザイムが多い。アイソザイムのできる遺伝的仕組みは、LDHがそうであるが複数の遺伝子がそれぞれのサブユニットを作るゲノムレベルの方法と、「 一つの遺伝子から伝令RNAが完成する過程で、複数種類の伝令RNAが作りだされる方法」選択的スプライシングがある。切り取られて捨てられる部位をイントロンという。エクソン部分はゲノムの3%以下です。多くが「ウイルス様繰り返し配列」です。この他にタンパク質にならないものとしてrRNAやtRNAを指定する部分も。他にも小型のRNAが多く作られ、核内で働いていることがわかってきました。この小型RNAは他のmRNA前駆体に結合し機能停止させたり、核内で様々な調節や干渉に関わることがわかってきました。mRNAに小型RNAが結合し、2本鎖RNAができるとそれを分解する酵素が存在し、結果としてmRNAの発現が抑制されます。これを実験手法として取り入れ、特定の遺伝子のmRNAを機能停止させ、逆に特定の遺伝子の働きを浮き彫りにするなどの方法を
RNA干渉(RNAi)といい近年注目される手法です。この過程は核で行われる。疾患を調べるために、採血して調節した血清を用いて電気泳動してLDHなど「アイソザイム分析」することがある。LDHの働きは、ツンベルク管実験装置を使って調べることができる。酵素活性があった場合は反応基質が入って緩衝液中に加えたメチレンブルー(MB)の色が変化する。ちなみに、酸化型MBは青色で還元型MBは無色である。緩衝液はpH変化を防ぎ酵素の変性失活を防ぐ。酵素活性によって、MBが酸化型の青から還元型の無色になる。染め出されたバンドがM4の位置に1本だけであった場合は実験操作の影響以外にH遺伝子が変異し発現しない疾患であったとわかる。M4以外の4本のバンド位置がズレていた。バンドの間隔が変わりH4のズレがもっとも大きかった。この場合は実験操作の影響以外にH遺伝子変異で分子量が違うHが合成されたと考えられる。分析で、バンド分布により損傷臓器や遺伝子変異がわかる。各臓器ごとに、
H4:H3M1:H2M2:H1M3:M4の存在比が異なり、それは各バンドの太さでわかる。たとえば
H4:H3M1:H2M2:H1M3:M4
=10:5:2:1:0
ならば心筋

H4:H3M1:H2M2:H1M3:M4
=0:1:1:3:7
ならば肝臓などとなる。

遺伝子の変異があった場合を示すが、遺伝子異常がない場合でも、各臓器に損傷があり、その臓器由来のLDHが血清に出てくるので、どの臓器が損傷しているかもわかる。