既存の金融機関が持つ総合的な金融サービスのうち、顧客が必要とする一部の機能のみに特化することで、低コストでサービスを受けることが可能となる[2]。

フィンテック、Fintech(英: financial technology)とは、「finance(ファイナンス)」と「technology(テクノロジー)」を掛け合わせた造語であり、ファイナンス・テクノロジーの略。「ICTを駆使した革新的(innovative)、あるいは破壊的(disruptive)な金融商品・サービスの潮流」などの意味で使用される[1]。既存の金融機関が持つ総合的な金融サービスのうち、顧客が必要とする一部の機能のみに特化することで、低コストでサービスを受けることが可能となる[2]。

2003年にアメリカの業界紙『アメリカン・バンカー(英語版)』が「Fintech 100」と題する業界番付を発表している[3]。

2014年にはアメリカにおける投資額が前年比約3倍の9887万ドルに達した[4]。

2016年2月には国際決済銀行が、ビッグデータを各中央銀行の金融政策に反映できるものと評価・報告した[5]。

金融領域のイノベーションに係る新業務が、既存の金融規制とどのように整合性を取るかが困難である場合がある[6] 。

坂村健は、IoTがビッグデータを生成しフィンテックの基盤の1つになるとし、Web2.0に準えてフィンテックを「経済2.0」とし、「社会2.0」には、「経済2.0」が必須となり、その先には社会を自動運転できる、とする[7]。

2015年、フィンテックハッカソンも行われるようになり[8] 、大手の金融機関やSIerも市場に参入し、富士通[9]、三井住友銀行[10]他、三菱東京UFJ銀行はビジネスコンテストを開催するなどしている[11]。2016年、地方銀行都市銀行等の金融機関においては、積極的にクラウド会計ソフトを活用するなどフィンテックと取り組み始めている。

2017年に三菱UFJフィナンシャル・グループは、ブロックチェーン技術を用いた独自の仮想通貨「MUFGコイン」を発行することを発表した[12]。将来的には個人向けサービスへの展開を表明しているが、当初は行内の取引管理コスト削減を狙い、海外送金や決済などでインフラコスト削減効果確認の実証実験を行うとしている[13]。

スペイン大手銀行のビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行(BBVA)のCEOが「BBVAは将来ソフトウェア会社になるだろう[14]」と述べている。イギリスの財務大臣ジョージ・オズボーンが、2014年8月のスピーチでイギリスを2025年までに「グローバル・フィンテック・キャピタル[15]」と発表[16]。

^ “フィンテック(Fintech)とは”. 富士通総研. 2017年3月25日閲覧。
^ “Fintech竹中教授「日本のフィンテックがダメな理由」”. 東洋経済オンライン (2016年6月7日). 2017年3月25日閲覧。
^ “Fintech企業に漂う、危険なニオイ”. 日経BP (2015年11月16日). 2016年2月24日閲覧。
^ “Fintech New York: Partnerships, Platforms and Open Innovation (PDF)”. アクセンチュア. 2016年2月24日閲覧。
^ Big data: The hunt for timely insights and decision certainty Central banking reflections on the use of big data for policy purposes by Per Nymand-Andersen February 2016
^ 「Fintecビジネスと法」有吉尚哉(商事法務)
^ AIによる「社会を自動運転」可能 フィンテックがSFを現実にする 東京大学教授・坂村健
^ “【API Meetup運営チーム】今盛り上がりを見せるFinTechサービス開発の最前線を探る、「API Meetup Tokyo #8 〜FinTechとAPI〜」開催!”. グッドウェイ (2015年7月13日). 2016年6月22日閲覧。
^ “オープンイノベーションの真価が問われる「Fintech」”. ZDNet Japan (2015年9月10日). 2016年6月22日閲覧。
^ “三井住友銀行、米Plug and Playと提携 有望Fintech企業を発掘”. ビジネス+IT (2015年8月4日). 2016年6月22日閲覧。
^ ガチ鈴木 (2015年2月20日). “日本のFintechの夜明けか 三菱東京UFJがICTテーマのコンテスト開催”. 週刊アスキー. 2016年6月22日閲覧。
^ “三菱UFJ、29年度中に仮想通貨発行へ 一般向けに”. 産経ニュース (2017年1月3日). 2017年3月13日閲覧。
^ “三菱東京UFJ銀 独自仮想通貨 実験で先陣 行内の取引管理費を削減”. Sankei Biz (2016年4月7日). 2017年3月13日閲覧。
^ 英: BBVA will be a software company in the future
^ 英: global Fintech capital
^ “Fintechが迫る金融ビジネスの革新と、世界のFintech最新潮流”. The Finance (2015年9月24日). 2016年6月22日閲覧。

ハッカソン(英語: hackathon 、別名:hack day ,hackfest ,codefest )とはソフトウェア開発分野のプログラマやグラフィックデザイナー、ユーザインタフェース設計者、プロジェクトマネージャらが集中的に作業をするソフトウェア関連プロジェクトのイベントである[1]。個人ごとに作業する場合、班ごとに作業する場合、全体で一つの目標に作業する場合などがある。時にはハードウェアコンポーネントを扱うこともある。ハッカソンは1日から一週間の期間で開催することがある。いくつかのハッカソンは単に教育や社会的な目的を意図に開催する。使用に耐えるソフトウェアの開発や既存のソフトウェアを改善することを目標としている場合もある。また、使用プログラミング言語オペレーティングシステム、アプリケーション、API、主題や参加プログラマーの人数を定める場合がある。

オープンイノベーションについては、多くの大企業で「社内部署横断のプロジェクト」立ち上げや「専門部署の設置」、「企業・団体との連携」を行っているが、ハッカソンについては、2015年現在認知度が低く37.2%である。ここからはオープンイノベーションの必要性を認識しながらも取り組みは従来型にとどまり、ハッカソンの認知度も低いという大企業の現状がうかがえる。[58]

システムインテグレーター(英: System Integrator)は、個別のサブシステムを集めて1つにまとめ上げ、それぞれの機能が正しく働くように完成させる「システムインテグレーション」を行なう企業のことである。情報システム(情報技術産業、IT業界)、軍需産業において名乗ることが多い。略してSIerエスアイヤー)などとも呼ばれる。

情報システムにおける元々のシステム・インテグレーターは、複数のベンダから汎用のパッケージソフトウェアやハードウェアなどの完成品を購入して、1つのシステムとして矛盾なく、効果が出るように組み立て、統合する事業に特化した企業のことを言う[2][3]。あえて説明すれば水平分業的である。付加価値再販業者を名乗ることもある。

株式会社大塚商会(おおつかしょうかい、英: Otsuka Corporation)は、日本のソリューションプロバイダー。 コンピュータ・複合機・通信機器を主に取り扱う商社である。

東証1部(証券コード:4768)に上場。創業当初はジアゾ式複写機と感光紙の販売を行っていたが、後にオフィスコンピュータやFAXなどのOA機器商社として急成長を遂げ、パーソナルコンピュータや企業ネットワークの普及に伴ってソリューションプロバイダへ事業領域の拡大を果たした。

現在は、コンピュータ・ネットワーク関連のシステムインテグレーション事業と、コンピュータ機器の保守、アウトソーシングを中核とするサービス&サポート事業「たよれーる」、事務機器用品・LED照明・オフィス雑貨を中心とするカタログ通販サービス&サポート事業「たのめーる」の3事業を中核としている。 また、同社は2000年から障害者が働きやすい職場を目指しておりダイレクトメール発送等の業務を行うなど障害者雇用に積極的な企業として知られている。

第2の情報システム部門(だいにのじょうほうシステムぶもん)とは、企業情報システムを利用するユーザー企業が顧客に対してITサービスを提供するIT事業を主担当とする情報システム部門の事を指す。

従来、企業情報システムを利用するユーザー企業は基幹系システム等の社内情報システムの開発、運用を推進する情報システム部門をIT組織と位置付けていた。これは電算部から発展した経緯から、本社機能の情報システム機能を担う組織と考えられている。一方、ITの高度化に伴い、企業は顧客接点領域のシステム化により顧客に対してITサービスを提供したり、自社製品・サービスとITを融合させた新しいサービスを展開するようになった。後者は一般的な第1の情報システム部門と区別するために第2の情報システム部門と呼ばれている。

2016年現在、ユーザー企業に複数のIT組織が存在する事は一般的であり、利用部門やシステム領域、製品・サービス等のドメイン毎にIT組織を設置する傾向にあり、第1、第2というのは組織数ではなく機能による違いを指している。近年、金融や製造業のIT化に伴い、第2の情報システム部門の役割が重要になっている。

企業の情報システム部門の役割は以下の2つに大別される。

第1の情報システム部門
基幹系システム等の社内情報システムの開発、運用を主担当とする部門(本社機能の情報システム部門
第2の情報システム部門
顧客向け情報システムの構築、ITサービスの提供、IT製品の開発、保守を主担当とする部門(事業機能の情報システム部門
例えば、金融サービスや自動車等のIT化は第2の情報システム部門、そこから得られる膨大な情報の管理、利用は第1の情報システム部門といった具合である。 銀行では、近年、ユーザーサイドの目線から利用しやすいシステムを開発したいという趣旨があり、融資営業経験者をシステム部に配属させるケースも多い。 メガバンクなどでは、大規模開発となるため、関係会社のシンクタンクに分離・独立する動きも出てきている。

情報子会社問題(じょうほうこがいしゃもんだい)とは、企業が本社機能として保有すべき情報システム部門を子会社化してITアウトソーシングする事によって、企業のITガバナンスが低下する問題である。

情報技術の高度化に伴い、企業の経営戦略におけるITの重要性が高まる中、従業員1000人以上の企業の約4割が情報子会社を保有し[1]、外部委託している状況である。(連結売上高5000億円以上の企業の約7割がIT子会社を保有し、その6割が完全子会社、親会社の出資比率が50%を超えるIT子会社は8割に上る[2])。企業は本体(親会社)の情報システム部門に企画機能を残し、開発・運用機能を情報子会社に移しているため、IT推進体制が分断されている状態である[3]。(矢野経済研究所の2015年の調査によると、情報システム子会社の企画プロセスへの参画比率は50%程度で、情報子会社が親会社にコンサルティングを実施しているという実態となっている[4])。また、親会社と情報子会社のIT機能に重複や欠如が生じて、深刻な状態に陥っているケースもある。これに伴い、迅速なIT戦略の実行が困難な状況に陥り、国際競争力が著しく低下している。

米国の大企業の多くは本体に数千人規模のIT技術者を保有しているが、日本企業は最小限のIT企画要員を配置するのみである。そのため、日本企業が保有するIT技術者は米国企業の10分の1程度となっている[5]。また、別の尺度では企業の総従業員に占めるIT部門の正社員比率が3%以下(情報子会社の正社員を含めると4.6%)という調査結果が示されている[6]。企業の情報システム部門の弱体化により、システム内製が困難になり、コスト高になっても外部委託せざるを得ない企業が増加している。また、内部統制・監査対応やサイバー攻撃対策、データ分析、情報技術分野の研究開発等、情報システム部門に求められる役割が広範になり、伝統的なシステムインテグレーションに留まらない戦略的な視点が求められるようになった。これらの新しいミッションに備えるため、情報システム部門の再組織化が急務となっている。