液クロ
【高速液体クロマトグラフィー(HPLC)とは】 混合している複数の物質を分離する方法をクロマトグラフィーといいます。 クロマトグラフィーではサンプルの中の物質が分離され、「何が含まれているのか(定性分析)」「どれくらいの量が含まれているのか(定量分析)」という2つを知ることができます。
高速液体クロマトグラフィー(こうそくえきたいクロマトグラフィー、英: high performance liquid chromatography、略称: HPLC)はカラムクロマトグラフィーの一種である。移動相として高圧に加圧した液体を用いることが特徴である。
機械的に高い圧力をかけることによって移動相溶媒を高流速でカラムに通し、これにより分析物が固定相に留まる時間を短くして分離能・検出感度を高くすることを特長とする。
現在では分析物の注入から検出・定量までを一体化して自動的に行えるようにした装置を用いて、再現性の高い分析が比較的簡便に行える。分析化学や生化学で頻繁に用いられ、俗に「液クロ」(液体クロマトグラフィーの略)といえばこれを指すことが多い。
高速液体クロマトグラフィーにおいては各物質は比較的鋭いピークとして検出され、分離(他の物質のピークと明確に分けられる)および検出(鋭いピークにより高い感度が得られる)の能力が従来の液体クロマトグラフィーより良くなる。
移動相としては、カラムや装置に悪影響を与えない範囲で各種の溶媒が使用される。水や塩類の水溶液、アルコール類、アセトニトリル、ジクロロメタン、トリフルオロ酢酸などが用いられる。相溶性のある(互いに混じり合う)溶媒を混合して使用する場合が多い。
溶媒の組成に勾配を付けて(すなわち組成を連続的に変えて)溶出を行うことも多い。たとえば後述の逆相クロマトグラフィーにおいて水/メタノール勾配を使う場合、まずメタノールの少ない条件で極性の高い物質が溶出し、その後メタノールの割合を増加させてゆくに従ってより極性の低い物質が順次溶出する。これをグラジェント分析と呼ぶ。これに対し、一定組成の溶媒で分析物を溶出させる分析法をアイソクラテック分析と呼ぶ。
測定時間は測定物質および測定パラメータによって大きく変動するが、一般的には数分から数十分/回程度である。
高速液体クロマトグラフィーの構成
A:溶媒
B:2溶媒切り替えバルブ
C:ポンプ
D:圧力ダンパー
E:ミキサー
F:レオダイン-マニュアルインジェクター
G:カラム
H:HPLCコントローラー
I:検出器(紫外吸光度計等)
J:検出データA/D変換装置(データ出力装置)
K:PC(データロガー・データ解析装置として使用)
L:プリンター
HPLCの心臓部とも言える機器。極めて安定した送液が出来る構造となっている。ポンプの前には、オンラインの脱気装置(デガッサー、degasser)が付いている場合が多い。また、プランジャーの前後にはチェックバルブが取り付けられており、移動相の逆流を防ぐ構造になっている。
ポンプの最大使用圧力は40 MPa程度であるが、2000年代後半には100 MPa程度での高圧送液が可能な超高速液体クロマトグラフィー(Ultra High Performance Liquid Chromatography, UHPLC)と呼ばれるシステムが登場し、シリカゲルの微粒子化と相まって、より高速・高分離能での分析が可能となった。なおUHPLCは、メーカーによって、UPLC (Waters)、UFLC(島津)などと称されている。
シングルプランジャーポンプ
ポンプの押し出す部分が一つのポンプ。古典的システムにおいては標準的な仕様であったが、現在は移動相脈動を軽減させるためやグラジェント分析が主流となりつつあるため、主たる移動相の送液のために用いられることは少なく、蛍光検出器のための標識試薬を送液するために用いられることが多い。但し、高い精度を要求しない分析ではこの仕様で十分事足りる、機器の価格が安い、メンテナンスが容易等の利点もあるため現在でも使用されている。
ダブルプランジャーポンプ
ポンプの押し出す部分が二つのポンプ。現在はこの方式が主流となっている。さらにダブルプランジャー方式は並流と直流の2種類が有る。
アイソクラテックポンプ
1種類の溶媒のみを送液するポンプ。安価であるが、溶媒混合比が変えられないためグラジェント分析が出来ず、分析の幅がせまい。
高圧グラジェントポンプ
2台以上のアイソクラテックポンプを繋ぎ、それぞれの流量をコントロールして溶媒混合比を変化させることによりグラジェント分析を行う。溶媒の種類ごとにポンプを用意する必要があるため、高価である。
低圧グラジェントポンプ
ポンプは1台であるが、ポンプの前に付いているバルブの切り替えによって溶媒混合比を変化させ(一般的に4種類の溶媒を混合して)グラジェント分析を行う。ポンプにより圧力がかかる前に溶媒を混合するため、こう呼ばれている。高圧グラジェントポンプに比べて安価ではあるが、溶媒の混合が甘い、気泡が発生しやすいなどの短所がある。
ナノ/マイクロフローポンプ
極微量の試料の分析に適した流量(nLまたはμLオーダー)での送液を行う。通常は内径1 mm以下のキャピラリカラムを接続して使用する。
分析ポンプ
通常の分析に適した流量(0.1 - 10 mL程度)での送液を行う。内径1 - 10 mm程度の分析カラムを接続して使用する。
分取ポンプ
物質の分離精製の目的に適した流量(10 mL以上)の送液を行う。大型カラムを接続して使用する。この種のポンプは分析用と比べ耐圧が低い場合が多い。
試料を注入する部分で、手動式(マニュアルインジェクター)と自動式(オートインジェクター)がある。
現在市販されているマニュアルインジェクターはほとんどがレオダイン社の製品であり、「レオダイン」がマニュアルインジェクターの代名詞となっている。 仕組みは、2種類の流路を切り替えるという極めて単純な物である。
ノブをロード側にし、マイクロシリンジでサンプルループ内に試料を入れる。サンプル注入量の計量には、人の手によりシリンジで計量する方法と、サンプルループからあふれる量を注入してサンプルループにより計量する方法の2通りがある。後者の方が人による熟練度の差がないため、再現性がよい。
ノブをインジェクト側に切り替え、サンプルを流路に注入する。マニュアルインジェクターに電気信号を出力する機能が付いていれば、この時にインジェクション信号を検出器またはインテグレーターに送ることが出来る。
大部分のメーカーがレオダインのマニュアルインジェクターを装置に内蔵しており、サンプルをシリンジで計量し、これを切り替えて流路に注入している。メーカーによりサンプルのハンドリング方法に工夫がされており、使用する目的に応じて選択できる。大量(数十から1000以上)のサンプルの連続分析ができるように、サンプルはウェルプレートや複数本のバイアルに入れて装置内にセットするようになっている。サンプルを保冷・保温する機能がついているものもある。
混合物で構成される試料を分離する。一般にステンレス製の筒の中に、微細な真球状の多孔質シリカゲルをアルキル基等で修飾した物を充填して用いる。分取目的であれば、粉砕シリカゲルも用いられる。
シリカゲルの粒子径が小さければ小さいほどピークの分離性は良くなるが、送液に必要なポンプの圧力が高くなる。そのため、ポンプ-インジェクター間、インジェクター-カラム間の配管の耐圧を上げたり、カラム自体を比較的高温の下にさらして溶媒の粘度を下げ、抵抗を小さくする工夫をしている。
各種の高速液体クロマトグラフィーの項目にある違いは、カラムの違いである事が多いため、装置はそのままでカラムの変更で行える場合が有る。ただし、誤って不適当な溶媒を通すとカラムを破損することがあるため、切り替えを行う際には注意が必要である。
内部にカラムを収納して加熱あるいは冷却を行い、カラムの温度を制御する装置。カラムヒーターとも称する。
カラム周辺の温度の変動によって溶出時間が安定せず再現性が悪くなる場合があるため、カラム温度を一定に保つために使用する。またカラム温度を分離条件のパラメーターの一つとして積極的に利用する場合もある。
加温することが多かったため「オーブン、ヒーター」と称されるが、現在では周辺気温より低温にするための冷却機能が付いている装置も多い。また、周辺気温付近で使用する場合にも冷却機能は一定の効果がある。
ディテクター(検出器)としては目的とする物質の性質に応じて光学的性質(吸光度、屈折率、蛍光等)、電気化学的性質、質量分析法などを利用する装置がある。
なお、JIS K0124:2002 高速液体クロマトグラフィー通則によると、吸光光度検出器(UV/VIS検出器)、蛍光検出器(FLD)、示差屈折率検出器(RID)、電気化学検出器(ECD)、電気伝導度検出器(CD)、質量分析計(MS)、赤外分光光度計(IR)、旋光度検出器(OR)、円二色性検出器(CD)、水素炎イオン化検出器(FID)、放射線検出器(RI)、誘電率検出器、化学発光検出器(生物発光も含む)(CLD)、原子吸光分光分析装置(AA)、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP-AES)、高周波プラズマ質量分析計、熱検出器、光錯乱検出器、粘度検出器、イオン電極、超音波検出器、核磁気共鳴装置(NMR)が記載されている。
吸光度検出器 (Absorbance Detector)
物質の持つ特定波長の光を吸収する性質を利用した検出器。次のようなものが存在している。
紫外吸光度検出器 (Ultra-Violet Absorbance Detector):紫外線域の光を使用する。最も一般的に使用される。
可視吸光度検出器 (Visible Light Absorbance Detector):可視光を使用する。
上記2つは、一体型の物が多い。
ダイオードアレイ検出器 (Diode Array Detector):幅広い波長を同時に検出できる。結果は、時間、吸光度、波長の三次元で表示することも可能。
旋光度検出器(Optical Rotatory Detector)
旋光または、光学活性を持った物質の検出に使用される。
円二色性検出器 (Circular Dichroism Detector)
偏光特性を利用したもので、光学異性体の検出に使用される。
蛍光検出器 (Fluorescence Detector)
物質にエネルギーを与える(励起)ことにより発光する(蛍光)性質を利用した検出器。一般に選択性が高く高感度で、物質に特異的な検出が可能。蛍光する性質を持たない物質については、その物質を標識することにより検出が可能になる。
屈折率検出器 (Refractive Index Detector)
物質の濃度により光の通過する角度が変わることを利用した検出器。原理上グラジェント分析はできない(グラジェントによって移動相自体の屈折率が変化するため)。また、感度が低いのが欠点だが、大部分の物質に対して使用できる。
蒸発光散乱検出器 (Evaporative Light Scattering Detector)
カラム溶出液を噴霧して移動相を蒸発除去後、溶質に光を当ててその散乱光を検出する方法である、不揮発性の成分は何でも検出できる一方、揮発性の高い物質には使用出来ない。以前は感度や操作性の点で難度があり普及しなかったものの、最近では医薬分野におけるニーズ(不純物の確認)の高まりから性能も向上し、検出器として見直されてきた。グラジェント溶出法が適用できるので、糖類の検出では、示差屈折率検出器と比べ5 - 10倍S/N比が高くなり、特に分配法によるオリゴ糖分析に効果を発揮する。
主にイオン性物質の定量に威力を発揮する。
電気化学検出器 (Electro-Chemical Detector)
物質の電気化学的な性質を利用した検出器。pHの変動や酸化還元電位の変動を用いて測定を行う。
導電率検出器 (Conductivity Detector)
物質の持つ電気の流れやすさを検出する検出器。
詳しくは質量分析法の項目にゆだね、ここではLC-MSで使用される代表的なイオン化法と検出部を列挙するにとどめる。
イオン化法
エレクトロスプレーイオン化法 (Electro-Spray Ionization, ESI)
大気圧化学イオン化法 (Atomospheric-Pressure-Chemical Ionization, APCI)
直結して使用することはできないが、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法 (Matrix Assisted Laser Desorption Ionization, MALDI) も使用できる。
検出部
四重極型 (Quadrupole, Q)
イオントラップ型 (Ion-Trap, IT)
飛行時間型 (Time-of-Flight, TOF)
MS/MSとして上記の物の組み合わせたもの(QqQ、IT-TOF、Q-TOF等)がある。なお、ITは、シングルでもMSn分析が可能。
放射性同位体で標識されたサンプルを測定する。
コロナ荷電化粒子検出器 (Corona Charged Aerosol Detector, CoronaCAD)
蒸発光散乱検出器(ELSD)と同様にカラム溶出液から移動相を蒸発除去後、イオン化した窒素原子を衝突させて溶質粒子をプラスに帯電させ、コレクター(導電性の膜フィルター)で帯電粒子を検出する方式[1]。ELSDと同じ分析条件が使用可能であり、ELSDよりも高感度であるとされている。米国ESA Biosciences社によって開発され現在はThermoFisher社が販売している。
ディテクターから出力された、電気信号を記録し、そこからピークを検出、解釈を行う。結果は、感熱紙等に印字される。装置のコントロールをしないのであれば、どのメーカーの物を使用しても問題はないが、通常は、装置のコントロールも同時に行うため、同じメーカーの物を選択する。
現在では、インテグレーターとしてWindows PCを用いることが多い。このPCベースのインテグレーターの中には、メーカーが異なる装置をコントロールできる物も存在する[2][3][4]。利点として、複数のソフトウェアの使い方を覚える必要が無いため、教育コストが下がるという点が大きい。
組み込みOSを用いて専用設計されているインテグレーター機器もある。
順相クロマトグラフィーは高速液体クロマトグラフィーにおいて最初に使われた。固定相に高極性のもの(シリカゲル)を、移動相に低極性のもの(例えばヘキサン、酢酸エチル、クロロホルムなどの有機溶媒)を用いる。分析物はより極性の高いほどより強く固定相と相互作用して溶出が遅くなる。また極性の高い物質の割合が多い移動相ほど溶出が早くなる。順相タイプは近年の逆相タイプの発展とともに使われることが少なくなったが、順相タイプは逆相タイプをはじめとする他の分離モードとは異なった特性を持つため、目的によっては非常に有効なものとなる。例えば、逆相タイプでは分離が困難なトコフェロールの異性体や保持の困難な糖類を容易に相互分析することができ、また主に水を含まない移動相を用いるので、水に難溶の脂溶性ビタミンや加水分解されやすい酸無水物などの化合物の分離に好適である。
また近年、順相クロマトグラフィーのバリエーションとして、「親水性相互作用クロマトグラフィー(Hydrophilic interaction chromatography, HILIC)」あるいは「逆逆相クロマトグラフィー」と称する分離モードのカラムが市販されるようになった。固定相に未修飾シリカゲルあるいは表面を極性基(ジオール、アミド、スルホベタインなど)で修飾したシリカゲルを、移動相に水を含む移動相を用いることにより、逆相クロマトグラフィーでは分離が困難なアミノ酸などの極性化合物を分離することが可能である。
前述した従来の順相タイプに対して、逆相クロマトグラフィーにおいては固定相に低極性のもの(例えばシリカゲルにアルキル基を共有結合させたもの)を、移動相に高極性のもの(例えば水や塩類の水溶液、アルコール、アセトニトリルなどの有機溶媒)を用いる。また珍しいケースではあるが、分離のための移動相pHをシリカゲルの使用範囲から外れたところに設定する必要がある場合、あるいはシリカゲル表面に残っている未反応シラノール基が分離に悪影響を及ぼし、かつそれが移動相の変更によっても解決できない場合には、固定相として樹脂を用いることがある。分析物はより極性の低いほどより強く固定相と相互作用して溶出が遅くなる。また極性の低い物質の割合が多い移動相ほど溶出が早くなる。
なお、カラムはシリカゲルに炭素鎖数18のオクタデシル基を結合させた「オクタデシル・シリカ」すなわち「ODSカラム」が最も広範に用いられる。
逆相クロマトグラフィーは、従来から低分子量物質の分析に用いられていたが、最近では核酸や蛋白質分析にも用いられている。蛋白質を分析する場合には、細孔径の大きな化学結合型シリカゲルをカラム充填剤として用い、移動相条件としては通常pH2 - 3あるいは中性付近で、有機溶媒量を増加させていくグラジエント溶出法が用いられる。
分子ふるいクロマトグラフィー(Size Exclusion Chromatography, SEC)はゲルろ過クロマトグラフィー(Gel Filtration Chromatography, GFC)またはゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography, GPC)とも呼ばれ、分析物をそのサイズにより分離する。サイズの小さい分析物ほど固定相であるゲルに「引っかかり」溶出が遅くなる。分子篩を用いて行う。
イオン交換クロマトグラフィーでは、無機イオンや高極性分子を電荷を利用して分離する。陽イオンタイプと陰イオンタイプの両方がある。イオン交換樹脂を利用する。
高速液体クロマトグラフィーの装置において分離を行う場であり、消耗部品である。一般的には、微細な(数μm)真球状の多孔質シリカゲルをステンレス製の管に充填したものが多い。目的、分離手法に応じて様々なタイプのHPLCカラムが存在する。下記に代表的なカラムメーカー(五十音順)とブランド名を列記する。
アジレント・テクノロジー: Zorbax
インタクト: Unison, Cadenza, Scherzo, Presto, Intrada, DACAPO
Waters: XSelect, XBridge, SunFire, Atlantis
化学物質評価研究機構: L-column
関東化学: Mightysil
クロマニックテクノロジーズ: Sunniest
ジーエルサイエンス: InertSustain, Inertsil, MonoClad(モノリスカラム), MonoCap(モノリスキャピラリーカラム)
シグマ アルドリッチ: Ascentis
資生堂: CAPCELL PAK
島津製作所: Shimpack
昭和電工: Shodex
信和化工: Ultron ES-OVM-3(超高速キラル分離カラム)、ES-BSA, ES-PEPSINなどタンパク質固定化カラム
住化分析センター: SUMICHIRAL(光学異性体分離用)
ダイオネクス: Acclaim
ダイセル: CHIRALCEL, CHIRALPAK(光学異性体分離用)
東京化成工業: Kaseisorb LC
東ソー: TSK-GEL
ナカライテスク: COSMOSIL
野村化学: Develosil
Phenomenex: Gemini, Jupiter, Luna, Onyx(モノリスカラム)
メルク: Chromolith(モノリスカラム), ZIC-HILIC
ワイエムシィ: YMC-Pack
和光純薬工業: Wakopak
システムとしてポンプ、インジェクター、ディテクターまでを一貫して製造しているメーカーを挙げる。
島津製作所:総合分析機器メーカー。
アジレント・テクノロジー:総合分析機器メーカー。
Waters:総合分析機器メーカー。
日立ハイテクノロジーズ:総合分析機器メーカー。
サーモフィッシャー:総合分析機器メーカー
ダイオネクス:化学製品メーカー。イオンクロマトグラフが有名。高速液体クロマトグラフの販売、最近ではESA社を買収してCADを販売。2010年末に、サーモフィッシャーに買収された[5]。
ジーエルサイエンス:クロマト関連製品メーカー。逆相C18などカラムや固相ミニカラムのメーカーとして有名だが、HPLCシステムや分取システムも製造している。
日本分光:分光計メーカー。
東ソー:化学製品メーカー。各種GPCシステム、イオンクロマトグラフを製造。汎用機は2009年9月製造終了[6]。
資生堂:化粧品メーカーとして有名だが、ユニークなHPLCシステムも製造している。
エイコム:総合分析機器メーカー。hplc-電気化学検出器およびマイクロダイアリシスのメーカー[7]。
カラムクロマトグラフィーは、化合物の精製法(クロマトグラフィー)のひとつ。筒状の容器に充填剤をつめ、そこに溶媒に溶かした反応混合物を流し、化合物によって充填剤との親和性や分子の大きさが異なることを利用して分離を行う。GPCやHPLCもカラムクロマトグラフィーの一種であるが、通常カラムクロマトグラフィーと言う場合、シリカゲルカラムクロマトグラフィーのことを指すことが多い。
固定相の粒径が小さいほど、理論段数が高くなるが送流抵抗は大となる。 主にシリカゲルカラムクロマトグラフィーでは、移動相の送流方法で
オープンカラム - 溶媒の重力落下により送流する。
フラッシュカラム - 数十 kg/cm3 以下のポンプで送流する。通常は単送ポンプの為、脈流である。
と呼び分ける。
カラムは、長さ50 cmほど、内径40 mmほどのガラス製の筒が一般的だが、大きさは様々である。
カラムの出口は細長く、途中についているコックで流速を調節する。
充填剤には基本的にシリカゲルを用いるが、シリカゲルは酸性であるために酸に弱い化合物が分解してしまうという欠点がある。
そのような場合には中性シリカゲルやアルミナを用いたり、展開溶媒に塩基を加えたりすることもある。
すなわち、正方形のTLCの隅にスポットして展開し、横にして再度展開すると、分解した化合物はRf値が変化し、対角線以外にスポットを示す。
展開溶媒は欲しい化合物と他の化合物とのTLCの Rf 値が十分に分かれる条件のものを用いる。 一種類の溶媒のみを使うこともあるが、一般にはいくつかの溶媒を混合して適切な Rf 値を達成するように極性を調整する。よく用いられる溶媒系はヘキサン-酢酸エチル、ヘキサン-ジクロロメタン、クロロホルム-メタノールなど。また、途中で混合溶媒の比率を変える(無修飾シリカカラムなどの順相カラムの場合は極性を上げる)ことで Rf 値の小さなものも流れてくるようになる。これを俗にグラジエントをかけるといい、目的物が拡散してしまう前に流出させて、分解能を保つ効果も期待できる。極性が同程度であっても用いる溶媒によってRf値は変わるので、分かれにくい時は別の溶媒系も試してみるとうまくいくかもしれない。
カラムの出口の内側に脱脂綿を詰める。入口から丸めた脱脂綿を入れ、細長い棒などでコックの入口側に詰める。
カラムを出口を下にして鉛直に固定する。
展開溶媒を適量入れ、径が一定になるところまで海砂または炭酸ナトリウムなどを詰める。このとき面が平らになるように注意する。
別の容器にシリカゲルを適量(重量にして分離したい化合物の20-50倍程度)取り、展開溶媒を入れてよく混ぜる。
(4) を (3) にゆっくりと、面が崩れないように入れる。
以下では、展開溶媒を補ったり、流速を遅くしたりして展開溶媒の液面を常にシリカゲルより上に保つ。溶媒がかれるとシリカゲルに気泡が入り、分離能が低下してしまう。
展開溶媒を流しながらカラムの側面を手で叩くなどしてシリカゲルが密に詰まるようにする。
カラムの出口の机からの高さを調節する。(9)で容器に流出液を取り分ける時、カラムの出口が確実に容器の内壁に当たり、また容器を容易に取り替えられる高さが良い。
カラムの中の展開溶媒がシリカゲルの面ぎりぎりになったら、少量の展開溶媒に溶かした試料をのせる。このときも面が崩れないように注意する。
試料溶液をシリカゲルに染み込ませ、展開溶媒を流し、カラムの出口から出てくる液を試験管などの容器に一定量ずつに分ける。
重力に従って滴下させればオープンカラム、上からポンプ等で圧力をかければフラッシュカラムとなる。
容器を入れ替えるときは、流出を遅くし、滴下と滴下の間で素早く交換する。流出を止めると拡散が進み、分離能が低下してしまう。
写真のような溶媒だめを用いると、溶媒を交換する手間が省ける。
小分けにした液を毛細管でTLCに打って分離しているか確認し、同じ Rf 値を持つものを集めて濃縮する。フラクションコレクター装置を使うとより便利である。
うまく単一の化合物になっているかNMR等で確認する。
ほぼ単一の化合物であれば終了とし、再結晶などでさらに精製を試みる。
Rf値の同じ化合物が多く混じっている場合は、分かれる条件を見つけるか、他の精製法を検討する。
Rf値が若干異なる化合物が多く混じっている場合は、同じ条件でカラム精製を繰り返す。
Rf値が全く異なる化合物が混じっている場合は、技術的な問題を疑う。
シリカゲルに対して試料が多すぎた。
途中で展開溶媒の極性を急激に上げた。
試料を溶かす時に用いた溶媒の極性が高すぎたか、量が多すぎたために、極性が急激に上がった。この際は、後述のまぶしカラムを用いることができる。
化合物が分解した。この際は、充填剤を塩基性寄りのものに変えたり、他の精製法を検討したりする。
化合物によっては、溶解性が低くジクロロメタンなどにしか溶けないにもかかわらず、それらの溶媒ではRf 値が高すぎて十分に分離できないものがある。そのような場合、ジクロロメタン溶液をシリカゲルなどの少量の担体と混合し、エバポレーターで溶媒を留去して吸着させる。これを上記の方法で作ったカラムに乗せ、ヘキサンなどで展開させる方法がある。これをまぶしカラムという。
HPLCの装置における分離を行う場。もしくは消耗部品。一般的には、微細な(数μm)真球状の多孔質シリカゲルをステンレス製の管に充填したものが多い。目的、分離手法に応じて様々なタイプのHPLCカラムが存在する。下記に代表的なカラムメーカーを列記する。
関東化学
シグマ アルドリッチ ジャパン
日本ダイオネクス - Acclaim
資生堂 - カプセルパックが有名
昭和電工 - ブランド名:Shodex
東ソー
Phenomenex
メルク - モノリスカラムで有名
和光純薬工業 - ブランド名:Wakopak
ナカライテスク- ブランド名:COSMOSIL
信和化工- 超高速キラル分離カラム:Ultron ES-OVM-3など
カラムとは、ワープロソフトやテキストエディタにおける、文字の位置やデータの長さを表す単位のことである。 あるいは、表計算ソフトにおける、表の縦方向に並ぶ列(フィールド)を表す単位のことである。 ワープロソフトやテキストエディタの場合には、カラムを半角文字単位で扱うことができる。